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香りの好みに国民性はあるか?

こんにちは!少しずつ春めいてきて、外を歩いていると目に入る花の色数も増えてきました。
先日、友達から「サルミアッキ」というフィンランドのお菓子をお土産にもらいました。真っ黒いグミキャンディーのようなもので、ワクワクしながら口にしたのですが、食べ物とは思えない味にビックリしました。フィンランドでは子供から大人まで大変親しまれているお菓子とのことで、国によって味や香りの好みが違うのかなぁ…としばらく残った表現しがたい香味に顔をしかめながら考えていました。
今回は、香りの好みに国民性があるかどうか、というお話です。

香りの好みというのは人によって千差万別ですが、その好みにはある程度の国民性や地域性もあるようです。
その原因の1つが体臭によるものです。日本を含む東アジア諸国の人種は、他の人種と比べて「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺が少なく、それにより「腋臭(ワキガ)」になる人も少ないそうです(つまり、比較的体臭が薄い人種なのです)。従って、香りに対してより敏感であるが為に、強い香りよりも控えめな香りを好む傾向があるそうです。一方で、「アポクリン腺」の多さに加え、高タンパク・高脂質な食事によって体臭が強くなりがちな欧米諸国の人達にとっては、体臭のケアはエチケットとして、日本人が思うより遥かに重要なもののようです(日本では、子供の頃に体臭についての対策を親から教えられることは少ないかもしれませんが、海外では当たり前になっている地域もあるそうです)。

さて、それぞれの地域についてご紹介致します。アメリカでは、体臭と合わさることで甘い香りになるように作られた制汗剤が広く親しまれており、甘い香りを好む傾向がうかがえます。フランスでは、やはり香水の文化が浸透しており、ココ・シャネルの“香水をつけない女性に未来はない”という発言や、子供用の香水が販売されていることからも、香水の使用が国民に根付いていることが判ります。日本と同じく、比較的体臭の薄い人種が多い中国では、柑橘系の香りのように、やはり控えめな香りが好まれるそうです。そのほか、ブラジルでは華やかな香りやフルーティーな香りが、メキシコでは、強く長続きする香りが好まれる傾向にあるそうです。

また、香りの好き嫌いは、その地域の歴史や文化に基づくケースもあるようです。一例を挙げますと、日本人にとっては馴染み深く、食欲をそそられる人も多い「魚が焼ける匂い」ですが、これを忌み嫌う地域の人達も存在します。その理由として、一説には、“民族間や領土間での戦争が絶えなかった地域で、多くの遺体が焼却されてきた歴史があり、その匂いと「魚が焼ける匂い」が似ているが為に忌まわしい記憶が呼び起こされるから”と言われており、香りの好みの国民性や地域性は、このような事情にも深い関わりがあるのです。

産まれた場所が違う国だったとしたら、今は好ましく感じている香りを不愉快に思うこともあるのでしょうか。自分の好みを探っていくと、意外な理由に辿り着けるかもしれませんね。

参考文献:
・ジョリー幸子 異文化比較における「匂い/香り」の非言語コミュニケーションに関する考察:「匂いのマーケティング戦略」も含めて
(愛知淑徳大学論集 ビジネス学部・ビジネス研究科篇 第6号 39-49 2010)

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