よい香りはストレスを軽減する?
毎年楽しみにしている金木犀。あの甘い香りを嗅ぐと、秋だな…としみじみ感じます。
「お花見」があるのなら、「お花嗅ぎ」があってもいいのではないか…などと、
金木犀を見上げながら考えておりました。本当に良い香りです。
香りによるストレスの軽減効果に関しては多くの報告がありますが、
香りの成分のみが関与している訳ではありません。
例えば、ミントやコーヒーの香りにはストレスを軽減する効果があるという報告がありますが、
その効果は全ての実験参加者に効果があった訳ではなく、これらの香りを正しく認知でき、
なおかつそれを『快』と感じた方にだけ効果的だったそうです。
つまり、同じ香りを嗅いでも、それをどのように認知するか
(平たく言えば、その香りを『快』と感じるか『不快』と感じるか)
によってストレスの軽減度合いは大きく変わり、心理的影響が大きいことが判ります。
考えてみれば至極当然の事なのですが、万人受けする香りというのは非常に稀で、
世間一般的に「良い香り」と認知されている香りでも、中にはそれを苦手とする方が
いらっしゃることは少なくありません。
また、香りそのものは『快』と感じていても、それが強くなると『不快』に感じることも
あるでしょう(昨今話題となっている「スメルハラスメント」はその一例です)。
様々な情報を基に自分に合った香りを選ぶことも重要なのですが、
まずは自分がその香りを『好き』であることが一番ではないかと思います。
参考文献:
坂井信之:感情心理学研究,17,112-119(2009)
N. Sakai et al.:Tohoku Psychological Folia,70,26-35(2012)