犬には匂いを通じて感情が伝わる?
こんにちは!今月初めころに近所の金木犀が咲き始め、満開を楽しみにしていたのですが、香りも花も少なめのまま終わってしまいました。これも地球温暖化の影響でしょうか?2度咲きに期待します!
ペットとして犬を飼われている方の中には、「自分が落ち込んでいる時にペットが寄り添うように近寄ってきてくれた」「自分が楽しい気分でいるとペットもはしゃいでくれているように感じた」ことがある方が少なくないかと思います。『こっちの気持ちが分かっているのかな?』と不思議に感じたことと思いますが、それはあながち偶然ではないようです。
以前、「汗は口ほどに物を言う?」という記事で、汗の匂いを通じて“恐怖”や“幸福”などの感情が他者に伝播するという内容に触れましたが、匂いから感情を読み取ることが出来るのは人間だけではなく、より嗅覚に優れる犬などでも起こり得る現象のようです。
イタリアのナポリ大学より発表された論文によると、被験者(飼い主)に冒険ファンタジー映画『ジャングルブック』とホラー映画『シャイニング』を観てもらった後、その汗を採取し、1つの部屋に『採取された汗』『飼い主』『ペットの犬』『第三者』が存在する状況下で、その犬がどのような行動をとるのかを検証する実験が行われました。その結果、『ジャングルブック』のように楽しい映画を観た後は、匂いを通じて飼い主が恐怖を感じていないことを犬自身が察知し、第三者に対しても懐くような行動を示したそうです。逆に、ホラー映画を観た後では、飼い主に対しては安心を求め、第三者を警戒するような行動を示したそうです。さらに、犬の心拍数を調べたところ、ホラー映画の方が大幅に上昇していたそうです。つまり、悲しんでいる飼い主に寄り添うような行動は、“飼い主のそばにいてあげたい”という気持ちだけではなく、ストレスを感じ取った犬の“自身のそばにいて欲しい”という気持ちの表れでもある…ということです。
犬に隠し事はできそうにありませんね。犬が人間の言葉を話せたら素敵ですが、「ご飯がマズい!」「くだらない愚痴を言うな!」などと文句を言われると悲しいし、可愛く思えなくなりそうです。通じない幸せっていうのもあるのかもしれません。
参考資料:
Biagio D’Aniello, et al.(2018)Interspecies transmission of emotional information via chemosignals:from humans to dogs(Canis lupus familiaris), Animal Cognition, 21:67-78